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パラサイト

猥雑さの中で骨太のドラマが展開する


採点 ★★★★★ 

映画『スノーピアサー』(2013)を劇場で観た時、ポン・ジュノ監督がハリウッドに単身乗り込んで、疾走感のあるイマジネーション豊かな作品を力業で作り上げたことに感嘆したことがある。(過去の記事はコチラから)

本作品も封切り一週目に観に行って、大変感心した。
韓国社会が醸し出す猥雑さの中で、ドタバタのコメディタッチも交えながら、骨太の物語が展開していく様子は、こちらの予想も裏切ってしまった。
 後半の金持ち家族のパーティでは、タランティーノ作品のようにスプラッター映画に変わるのか? と密かに想像したのだが…。
とにかく、話の先が読めず、ドラマの推進力がハンパ無い感じであった。

 映画は、ごく貧しい半地下に暮らす4人家族が主人公。
大学受験に4回も失敗した長男ギウが、友人の紹介で偽装して白亜のお屋敷に暮らす超金持ち一家に家庭教師として入り込むことに成功する。他の家族3人も次々と策略をめぐらして、妹は美術の家庭教師、父親はお抱え運転手、母親は家政婦で雇われる。
つまり金持ちの家に一家四人が丸ごと寄生してしまい、金持ち家族が不在の時は快適な生活を満喫することになる。ここから物語は大きく転換しいてくことになる。


 映画では、韓国の格差社会が痛烈に描かれているのだが、個人的に印象深かったのは、
① 血族社会
この貧しい家族は、とにかく仲が良い。父親は失業中で、宅配ピザの箱つくりのバイトをしているが、一家で助け合っている。母親は父親をバカにすることなく、良く支えているし、食事の風景を見ても、家族がお互いに敬意と愛情を持って、さりげなく接していることが良く分かる。
息子が良い仕事先を見つけてくると、他の家族メンバーに広げていく。この様子を見ていると、古代中国で、ある人物が国王から重用される様になると、一家、一族郎党も出世して豊かな暮らしを始める姿に良く似ている。
大陸続きの韓国にも、この血族主義が脈々と生きているナと感じられた。
日本では、親子関係がもっとバラバラで、欧米型に近づいているので、違和感があった。

② デジタルVS アナログ 
 面白かったのは、韓国社会もスマホを中心にしたデジタル社会化が進んでおり、PCが得意なギウの妹は、兄の大学在学証明書をネットカフェで簡単に偽造してあげる。
また、父がお抱え運転手に決まった時には、ギウは父とベンツのショールームに出かけスマホでマニュアルを調べながら運転法を手取り教えるところは笑ってしまった。
確かに最新の車は、電子化が進んでいますからネ。
 こうした半面、金持ちの邸宅には人が横向きになって全力で開けねばならない地下室の扉が出現したり、軍隊で習ったというモールス信号が重要な意味を持って出て来たりとアナログの姿も対比的に出てくる。
 韓国の底の浅いデジタル社会を皮肉っているような監督の視線を感じてしまった。

 この映画では、社会の貧富の差とかデジタル化とかを見つめる監督の眼は、異議申し立てをする訳でもなく、クールで一貫しています。その様なところが大変気に入りました。
また、韓国の人々が北朝鮮のキム・ジョンウンを蛇蝎のように嫌っているかというと、そうでも無い人々も居そうだという事にも気付かされました。

やはり、後半の大暴走は一見の価値ありですネ。



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 和田誠さんが10月に亡くなった。週刊文春の表紙も続いていたので、お元気だと思っていたが、突然の事で残念である。享年83歳。
私が学生の頃だから、もう50年も前から彼のイラスト、エッセイ、映画作品に接してきて、穏やかな語り口ながら、趣味人としての知識の深さ、自由な感性に惹かれて、彼の著作を購入してきた。何はともあれ映画、音楽と偏愛するジャンルで波長が合うので、好きな著者の一人であった。

 週刊文春、キネマ旬報にも追悼特集が組まれるようである。
日曜日の毎日新聞に「この三冊 南伸坊・選 和田誠」として、①定本 和田誠 時間旅行 ②もう一度 倫敦巴里 ③本漫画 が挙げられていた。
馴染みが無い本が多かったので、ここに自分が好きな彼の作品を挙げておく。

映画『麻雀放浪記』(1984)
麻雀放浪記2

監督第一作目で私の大好きな作品である。(過去の記事はコチラから)  モノクロ画面ながら清新の気分に溢れていて、「ドサ健」(鹿賀丈史)とまゆみ(大竹しのぶ)のコンビの爽やかな別れが強く印象に残っている。「上州虎」(名古屋章)、「出目徳」(高品格)、「女衒の達」(加藤健一)等の個性派俳優が繰り広げる賭博の激闘も出色である。
物足りなかったのは、原作者阿佐田哲也が他の著作でも繰り返し語っていたが、負けることに取りつかれたギャンブラーの破滅的な性情が、主人公「坊や哲」(真田広之)に余り反映していない事であった。

著作 私の三冊
①『お楽しみはこれからだ』(文芸春秋社)
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 セリフから広がる映画の楽しい世界を、これでもかと言うくらい披露してくれた名作だと思う。和田さんは、映画の観上手というか、傑作だけでなくB,C級作品でも気に入った素敵な場面を楽しく描いて、こちらが未見の作品だったら是非観たいと思わせる力があった。50~70年代の作品が満載の本作は、映画好きには堪らない一冊である。

②『いつか聞いた歌』(文芸春秋社)
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 和田さんはジャズについても造詣と愛情が深く、村上春樹氏と『Portrait in Jazz 1,2』を作っておられます。ジャズメンの儚さと作品の輝かしさを愛情深く描いて、素敵な本に仕上がっています。
ここでは、アメリカン・スタンダード100曲を取り上げた本書を推します。
作曲された経緯、歌詞の内容や採り上げられた映画や舞台での場面の描写が鮮やかで、繰り返し読んだことを憶えています。名歌手、名エンターテイナーのレコード評もあり、名歌が多くの人に歌い継がれて、大樹になっていることを実感させられる素敵な本です。

③『装丁物語』(白水社)
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 グラフィック・デザイナーの横尾忠則氏は、和田誠氏の絵を「余白の使い方が本当に上手い」と評しています。確かに一本線で描かれた似顔絵に見入ってしまいますが、余白とのバランスが良いですね。
 本書は、著者が長年携わってきた本の装丁の解説でもあり、彼の沢山の作品を紹介してあり、楽しい一冊です。
穏やかなユーモラスな絵に惹かれがちですが、タイポグラフィー(文字のデザイン)にも工夫とアイディアが凝らされていると知ることになります。バーコード表示に対する抵抗も述べられています。

装丁は、本の入り口なんだけれども著者のこだわりと愛情を知り、本を所有する喜びも増す感じがしました。
 遠藤周作(ぐうたら人間)、星新一、広瀬正、谷川俊太郎、丸谷才一、椎名誠、村上春樹等々の作品を思い出すのも楽しい時間でした。
 
 和田さんのご冥福をお祈りいたします。



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 秋も深まって、日々聴くオーディオの音も落ち着いた感じとなり、夏より良くなってきました。重くなったような空気感からですかね。

 このところ気になっていたのは、CD,SACDプレーヤーからのスピーカーで聴く音が、中音域が張り出して、ヴァイオリン等の弦楽器の魅力があまり感じられない点でした。
プレーヤーはマランツSA-15S2です。ヘッドホン端子を通じてヘッドホンで聴く音は、そこそこ良かったので、プリメインアンプに至るRCAラインケーブルがマズイのかなと、感じていました。
現行品はPRO CABLEさん絶賛のBelden8412。(過去の記事はコチラから)で、導入時は赤白ケーブルで気付かなかった細かな音が聞こえて感激していたものです。
昨年、RCAケーブルとしてゾノトーンAC-1001αを購入し、繋ぎ変えてみたのですが、出て来た音は柔らかすぎて引っ込んだように聞こえ、一万円近くしたのに泣く泣くお蔵入りになりました。

 最近、ネットで評判を調べて、良さそうなMOGAMI 2534を購入しました。広島市の音光堂という専業メーカーからで、価格も二千円強とリーズナブルです。
出て来た音は、押し出しも良く、特に中音域の分離が良くて、オーケストラの弦楽器が低音、中音、高音と心地良く聞き取れるようになりました。
 ネットでは、音がフラットだとの評価が主でしたが、確かにそのようです。出てくる音がヘッドホンの音に近づき、弦楽器、管楽器の音が魅力的になりました。
昔聴いて、ちっとも良くないと感じたCDも、聴き直して魅力的なものが出て来たのは嬉しい誤算でした。

 ケーブルで音が変わるとは…!!
感心したので、レコードプレーヤーのRCAケーブルも追加注文しました。



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映画、クラシック音楽、料理、ゴルフが好きな中高年男です。 家猫1匹、外ネコ3匹に遊んでもらっています。

ボクダノビッチ

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