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皆様いかがお過ごしですか。

 今年を振り返ってみて、漢字1字で表すと、個人的には『変』ですね。
変な人が米大統領になり、変な事ばかりして、北朝鮮でもこれまた変な人が暴走して、世界を不安定化させる。国内でもモリカケ問題、不倫報道、大相撲暴行事件、加えて三菱、日産といった大企業の法令違反と変な事件ばかりが続き、社会が潜在的に持っていた『穏やかな義』の力も薄らいで来たように感じます。
来年は、弱肉強食の世界が更に強く出てきそうで不安ですが、生きるもの全てが共生するんだという考えが強まることを願っています。

映画は良く観ているのですが、昔は平気だった長時間ものは分割して観るようになりました。最近感心したのは、アニメ『君の名は』の細密描写や『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』のSFXの素晴らしさで技術の進歩には驚かされます。
私の今年観た映画のベスト3は、個人の人間ドラマを深く描いています。

一位 『ブルックリン』 ジョン・クローリー監督
ブルックリン

1950年代 貧しいアイルランドから新興の米国ニューヨーク ブルックリンへ移民した若き女性の物語。主人公エイリッシュ(シアーシャ・ローナン)はデパートの化粧品売り場で働き始めるが‥。淡い表情の主人公にアイルランドでは底意地の悪い食料品店主、ブルックリンでは寮母や同僚といった濃いキャラの人々を配しているせいか、観る方も主人公の心の動きに徐々に同調していくところが素敵でした。
ロマンスにハラハラさせられながら、故郷を思う切なさに共感し、主人公がいつまでも幸多かれと願わずにいられませんでした。

二位 『マンチェスター・バイ・ザ・シー』 ケネス・ロナーガン監督
マンチェスター

アパートの便利屋リー(ケイシー・アフレック)が、兄の遺児パトリックを引き取るはめになり、ぎこちない関係を続けていくお話。
途中まで主人公の背景とかの説明もなく、だるい作品かなと思っていたところ、アルビノーニの「弦楽とオルガンのためのアダージョ」が静かに流れ、主人公リーの後悔しきれない過去が突如明らかとなり、冒頭から人を拒絶する態度も彼の傷の深さから来ていると理解出来てハッと胸を打たれました。
元妻ミッシェル・ウィリアムズとふと再会するところも秀逸で、人は過去を許すことでしか前へ進むことが出来ないことが清冽に描かれていました。
アメリカの今の姿も垣間見えて感心した一作でした。

三位 『トランボ ハリウッドに最も嫌われた男』 ジェイ・ローチ監督 
トランボ

赤狩りでハリウッドを追放された名脚本家ダルトン・トランボを描いた作品である『ジョニーは戦場に行った』を観て以来、この反骨の作家に関心があったが、このような映画が作られるとは思わなかった。
売れっ子脚本家だったが、赤狩りで友人を売ることを拒絶した結果、零落する。他人の名で『ローマの休日』、『黒い仔牛』の名作を残し、B級映画を書くことで食いつなぐ。17年の雌伏の後、カーク・ダグラスが業界を忖度せずプロデュースした『スパルタカス』で本名がクレジットされるようになる。映画はこういった経緯を、赤狩りに熱心なコラムニストのヘレン・ミレン、右翼のジョン・ウエイン(そっくりさん)、二人とも嫌な奴、の妨害を交えて淡々と描いていくが、苦節の後に認められても苦い味が残った。

 最近、カフカの『変身』を読んで思い当たることがあった。平凡なセールスマンのグレゴールが、ある朝目覚めると巨大な甲虫になっていたという小説である。中学生の頃は、粗筋からSFじゃないかと思っていたが、読んでみると今日的なテーマで驚いた。変身した虫の側からの観察談で、虫は周囲の人間とコミュニケーションを取ろうと努めるが、家族は彼を一室に閉じ込め、見ようともしない。認めたくないと思う。
 自分も、ある日、寝たきり老人や認知症や不具者に“変身”すると、身近な家族でさえ自分を“もの”としか看做さない疎外感を味わうことになるのだと知らされた。
『ジョニーは戦場に行った』は、単なる反戦映画と思っていたが、物体と化したと思われる人間が、外部と必死にコミュニケーションを取ろうとし、拒絶される物語であることが良く解った。
本作『トランボ』を観ると、ジョニーは社会から拒絶されたトランボ自身の姿であったんだなと思い到って、感銘が深かった。
 

皆様、一年間、訪問していただき有難うございます。
良い年をお迎え下さい。

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映画、クラシック音楽、料理、ゴルフが好きな中高年男です。 家猫1匹、外ネコ3匹に遊んでもらっています。

ボクダノビッチ

Author:ボクダノビッチ
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