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映画「クララ・シューマン 愛の協奏曲」(2009年)

クララ・シューマン

暗いトーンが支配して楽しさが欠けていた

ドイツロマン派の作曲家ロベルト・シューマン(1810~56)とピアニストの妻クララ、若き友人ブラームス 晩年のシューマンを取り巻く人々を描く伝記映画である。

シューマンは、個人的には、大好きな作曲家の一人である。彼は多面的な性格だったと言われており、その音楽からは情熱家、夢想家の姿が良く伝わってくる。最初の音を聞いただけで、心の震えや喜び、夢の世界を感じる繊細で美しい曲が多い。
交響曲やオラトリオの大作は、ゴチャゴチャして良さがストレートに判りづらいが、ピアノ曲や歌曲で演奏時間1~2分の短い曲は心に沁みるものが多く、彼の真価が表れていると思う。

シューマンは、死の間際に、妻クララに“Ich weiß”(私は知っている)と言ったと伝えられている。彼が、妻クララとブラームスの不倫を怪しんで悩んでいたからだとされる。映画では、ブラームスの末裔に当るヘルマ・サンダース・ブラームス監督がこの闇に鋭く切り込むとあり、私も関心を持って観たが、プラトニックな愛で大胆な説ではなかった。些か残念(^_^)

映画自体はドイツ語でいうところのsachlich(ザッハリッヒ)、即物的というかフワッとした馥郁たるロマンの香りに欠けていた。ハリウッド作でなくドイツ/ハンガリー/フランス共作のせいか、これは関係ないか、恋愛映画なのに甘い恋の炎が盛り上がらないので、やや期待外れであった。

映画は、シューマン夫妻が列車で旅し、港町ハンブルグ公演をするところから始まる。クララ(マルティナ・ゲディク)の名技的なピアノ独奏でシューマン作ピアノ協奏曲イ短調が華やかに演奏される。演奏後の大拍手に対して、ロベルト(パスカル・グレゴリー)は病的な脆さと媚びを売らない傲慢さを示し、賢妻クララはそれを取り繕う。二人の性格を良く現しているシーンである。
当時、シューマンは作曲家としての収入は低く、妻の演奏収入に依存して旅から旅の演奏旅行に明け暮れていた。
演奏会で若きブラームス(マリック・ジディ)と会い、夫妻は港町の居酒屋を訪ね、好印象を抱く。ブラームスのヴァイオリン・ソナタ第1番が甘く弾かれる。

シューマンは商業と鉄鋼、石炭産業で隆盛の大都市デュッセルドルフに音楽監督の地位を得て移住する。7人の子沢山。クララは毎日4時間のピアノ練習が欠かせず、夫がピアノを独占するためストレスがたまっていたが、夫から2台目のピアノをプレゼントされている。
新居にブラームスが来訪し、夫妻は彼のピアノソナタに魅了される。子供達とも仲良しになり家族の一員として遇されるようになる。
ブラームス20歳、クララ33歳の出会い。
落ち着きを取り戻したシューマンは、交響曲第三番「ライン」の作曲を手がけ、オケでも指揮しようとするが、内向的性格と分裂症気質で破綻してしまう。妻クララは指揮代役も引き受け、夫を必死で支えようとするが‥。
精神を病んだシューマンは、ライン川に投身自殺を図り、ボンの精神病院に入院しそこで亡くなる。生活に困窮したクララを物心共に支えたのはブラームスであった。

映画ではうまく描かれていなかったが、ブラームスは控え目で冒険を恐れる性格からか敬愛するクララに一歩踏み出す勇気が無かったように思われた。一方、クララは健全な賢夫人であり、年下のブラームスには友情以上のものは抱いていない感じを受けた。長く続いた美しい友情はここにも拠るのだろう。
クララの死後、ブラームスも後を追う様に1年も経ずして亡くなる。

シューマンの晩年のせいか暗いトーンで、彼の姿はしおれた青菜のようである。彼の若い頃の才気煥発な魅力や芸術に対する繊細な感受性はあまり描かれておらず残念だった。音楽評論家として、ショパン、ベルリオーズ、ブラームスを世に送り出した目利きとしての優れた役割も描かれると良かったと思う。回想シーンを作って、心に残る優れた面をもっと強調して欲しいと感じた次第である。
最後、精神病院でロボトミー手術を受けていたとは驚きであった。


中学二年の頃、1965年か、シューマンの伝記映画『愛の調べ』(1948)を観たが、 確かキャサリン・ヘップバーンがクララを演じ、ルービンシュタインがピアノ演奏をしていた。クリスマスで皆が集まって将来を占うシーンがある。熱く溶融した鉛を水に入れ、出来上がる形で運命を判定する遊びである。シューマンのものは、形がいびつとなり、これを見た本人が未来を悲嘆するシーンがあった事を思い出した。

尚、シューマンの曲では、ピアノ曲『謝肉祭Op9』が特に好きな曲である。ミケランジェリ演奏(EMI 1975)は、キラキラと光る万華鏡を覗くようなワクワク感があり、聴かれたことが無い方にお勧めします。
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映画、クラシック音楽、料理、ゴルフが好きな中高年男です。 家猫1匹、外ネコ3匹に遊んでもらっています。

ボクダノビッチ

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