スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
line

映画「レインメーカー」(1997年)

レインメーカー

和解しないところが痛快、複雑に入り組んだ話を上手に描いている


BS放送で久しぶりに再見した。
90年代、英語学習のためペーパーバックを良く読んでいた。海外との折衝が多い職場にいたため、英語に対して少し脅迫観念めいた気分もあり、自分に英文の多読を課していた頃である。
読んだ中では、ジョン・グリシャムのリーガル・サスペンス小説とマイケル・クライトンのSF小説が格段に面白く、辞書を片手に夢中になって読んでいた事を憶えている。
グリシャムの“Runaway Jury”(逃げ出した陪審員),“The Rainmaker”,“The Chamber”(処刑室)は、特に若者特有のひた向きさが書き込まれてあり、好きな作品である。

本作は、フランシス・フォード・コッポラ監督が重厚に映画化した。ストーリーは、原作に概ね忠実である。
コッポラ監督は、名優を多く配し、手練れた演出で上手く描いているが、原作にある若者の持つ初々しさとユーモアの気分は少し欠けている気がした。

さて、Rainmakerとは、①雨を降らせる人、雨乞いの祈祷師 ②リッチな顧客を法律事務所に連れてくる腕利き弁護士 ③恵まれない人に思いがけない福音をもたらす人 との意味があるそうだ。本作品には、②と③のニュアンスがあると思う。

物語は、メンフィスの法科大学を出た青年ルディ・ベイラー(マット・ディモン)は就職先が無くなり、闇のビジネスをサポートしている悪徳弁護士ブルーザー・ストーン(ミッキー・ローク)に雇われることから始まる。この事務所では、各自が案件を探してきて、得た報酬の1/3をストーンに差し出すことになっている。同僚のデック(ダニー・デービッド)が彼に仕事のとり方を指南する。
ルディは、卒業前の無料法律相談でブラック家の相談を受ける。保険会社グレート・ベネフィト社が、白血病の息子ダニー・レイの治療費(骨髄移植)を拒否し治療が受けられないというものである。
司法試験に合格したルディが、ダニー・レイの母親を原告にベネフィト社を訴えようとした矢先、ブルーザーがFBIから追われ雲隠れして、ルディとデックは新たな事務所を構える。
初仕事は、ベネフィト社への訴訟だが、新米弁護士が会社側の老獪な弁護士(ジョン・ヴォイド)や巨大法律事務所のエリート達を相手に勝てるのか。人権派の裁判官キプラー(ダニー・グローヴァー)も加わり、虚々実々の法廷での駆け引きが展開していく。
これに、ルディがDV亭主に暴行されたケリー(クレア・デーンズ)を救っていくラブ・ストーリーが平行して描かれる。

本作品は、チト青臭く理想主義的だが、アメリカ社会での法律、弁護士、法廷の実態が良く解かって面白いと思う。本と映画から、印象に残った点を書いてみたい。

◆◇ Shark とAmbulance Chaser ◇◆
Shark(鮫)は忌み嫌われる動物であるが、米語でも「人を騙して金を巻き上げる人」の意味がある。Loan Shark(高利貸し、サラ金)や米俗語で弁護士を指すようにズルいイメージがある。裏稼業の弁護士ミッキー・ロークが、オフィスで水槽に鮫を飼っているのは示唆的である。
Ambulance Chaserとは、怪我人を運んでいる救急車の後を追っかけて、訴訟ネタを漁る弁護士を指す。映画でも同僚のダニー・デービッドが緊急病院の病室をまわり患者に「事故に巻き込まれたなら弁護費用は無料、成功報酬で事件受託」と名刺を渡していく姿が見られる。
いずれも弁護士は、浅ましい軽蔑の対象に描かれている。

◆◇ Jury Selection ◇◆
アメリカの裁判は12人の陪審員制度で、日本人には判りづらい。映画「12人の怒れる男」等で審議の尽し方は見たことがあるが、Jury Selection(陪審員選定)のプロセスは殆ど知らなかった。その点は小説“Runaway Jury”に詳しいが、本作でも原告、被告側それぞれに有利な陪審員を選ぼうとする駆け引きの一端が描かれている。
ピックアップされた92名の陪審員候補者から、原告、被告側は、性別、人種、職業、年収、支持政党等を解析して、自分の側に同情的な、理解が得られる陪審員を選ぼうとする。
膨大な作業で金のあるドラモンドの大企業側が情報解析に有利だが、ベイラーは事務所が盗聴されている事を逆手に取って、禁止されている弁護士と陪審員の事前接触を想像させて、自分らに不利な陪審員の忌避に成功する。

◆◇ Punitive Damages ◇◆
白血病のダニー・レイは裁判が始まると亡くなってしまうが、裁判で持ち出された保険会社のマニュアルには、保険申請クレームは先ず全て却下する事だと明らかになる。
貧しい人々から保険掛金を集め、事故が起これば、会社ぐるみで支払いを拒否するブラック企業の巧妙な実態が見えてくる。
陪審員の判決は有罪。現実的損害賠償として15万ドル、Punitive Damages(懲罰的賠償)として5,000万ドル(50億円)が命じられる。懲罰的賠償とは、加害者の行為が強い非難にあたる場合に課せられる制度である。


弁護士の報酬は、賠償金の1/3なのでベイラーは天文学的な金を手にすることになるはずだが…。ベネフィト社にClass Action(集団訴訟)が次々起こり、破産してしまう。
ベイラーは弁護士を辞め、離婚したケリーと新生活を始める。

本作品は、正義が悪に勝つ、個人が大組織を打ち負かす、未経験者が海千山千の熟練弁護士を破る といったアメリカ人の好きな理想・神話を描いて、現実離れしているのだが、アメリカの医療制度や裁判のプロセスを批判的に詳しく描いて興味深かった。

俳優では、ジョン・ヴォイドが熟練の大企業弁護士役で風格があり、ベイラーに下宿を貸す未亡人テレサ・ライトが何とも穏やかな上品な味で、ベイラーとの暖かな交流を醸し出している。「ミニヴァー夫人」、「疑惑の影」に出た芸歴が長い人で、前者ではアカデミー助演賞を得ている。
line

comment

Secret

line
line

line
カレンダー
09 | 2017/10 | 11
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -
line
プロフィール
映画、クラシック音楽、料理、ゴルフが好きな中高年男です。 家猫1匹、外ネコ3匹に遊んでもらっています。

ボクダノビッチ

Author:ボクダノビッチ
FC2ブログへようこそ!

line
全記事表示リンク

全ての記事を表示する

line
最新記事
line
来訪者数
line
最新コメント
line
月別アーカイブ
line
カテゴリ
line
sub_line
検索フォーム
line
RSSリンクの表示
line
リンク
line
メールはこちらから
ご意見・ご感想をお待ちしております。

名前:
メール:
件名:
本文:

line
QRコード
QR
line
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

line
sub_line
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。