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映画「エリジウム」(2013年)

エリジウム3

型に囚われない監督の才気を感じる


化学を専攻したものにとって、接尾語-ium は金属元素を想起させる。Radium(ラジウム)、Calcium(カルシウム)とか。どんな元素かなと思っていたが、Elysium(映画では、エリシウムと濁らず聴こえた)は、人類のユートピア 宇宙コロニーを指していた。

22世紀半ば、人口爆発や大気汚染で荒廃しスラム化した地球には、搾取される貧困層が住み、地球を支配する極少数の富裕層は、地球を離れて、水と緑に溢れた理想郷エリジウムを造り暮らしている。
この対比は、メキシコシティーのスラム地区とバンクーバーの美しい住宅地の実写が生きて鮮やかである。

薄汚れたロスに住むマックス(マット・ディモン)は、昔は不良だったが、今は軍事ロボット製造のアーマダイン社工場で従順に働いている。彼は、不慮の事故で放射線被爆を受け、余命5日間と宣告される。
マックスは、治療が可能なエリジウムへの密航を決意し、闇社会のリーダー スパイダーと取引を行う。スパイダーの要求は、アーマダイン社CEOの脳内のコンピューター情報を盗み膨大な資産を得る事である。
しかし、盗んだ情報に新たなプログラムが含まれていた事から、マックスはエリジウム陰謀派から狙われる。マックスは幼馴染の看護婦フレイと再会し、彼女の白血病の娘と共にエリジウムに向かうのだが‥‥。

壮大なSFアクション大作で、話はやや込み入っているものの大変解かり易い。
マックスとフレイのラブストーリーは淡く遠景で、SF特有の活劇が中心となる。アクションは、銃撃戦より格闘技が主で、武器に日本刀、手裏剣、甲冑などが活躍し、監督の日本びいきのところが見てとれる。

巨大な車輪形状の宇宙ステーション内側に住居やプールが並ぶエリジウムの美しい全景は完成度高く、格調高い物語が進行するのかと期待したのだが‥。
スパイダーは、マックスの肉体を改造して、脳をダウンロード用の記憶媒体とし(頭から接続プラグがぶら下っている)、手足を強靭な武器に変えるところなど描き方はリアルだが、有り得ないと思わせる安直さ、チープさとのアンバランスが際立っていた。
ここらがこちらの想定を越え、面白いと思わせた点かも知れない。
尚、ラテン俳優を多く配し、地球の言語がスペイン語になっていたところも不思議な感じを醸し出している。

映画を通じで考えさせられた点を書いてみたい。

◆◇ プロテスタントとカトリック ◇◆
2154年は、現代より更に貧富が拡大した社会となっている。貧しい者は利益の拡大を目指すブラック企業の強大な武力と権力により管理・支配されているが、貧しい者にも病院や働く工場もあり、現状を少しずつ悪い方に推し進めた印象である。
現在のアメリカ社会は、新自由主義の下、富の9割が1割の富裕層に集中し中間層が無くなって来ていると聞くが、この延長で進むのであろうか。
キリスト教プロテスタントの奥にある思想は、個人の貧富は自己責任で自己努力によるものだとなっている。一方、カトリックは貧しい者への施しは富める者の義務であり、行き過ぎた富の偏りは必ずしも正当化していない。
将来のアメリカの姿は、宗教を根底にした二つの潮流のせめぎ合いで決まり、必ずしも現在の延長線上にはならない気がするが、どうだろうか。

映画は、満足な病気治療が受けられない人を描き、国民皆保険のない米国を強烈に皮肉っていると思う。

◆◇ コンピューターが支配する世界 ◇◆
エリジウムは新しく作られた国家である。従って、国家を成り立たせる法律、指導者を選任するシステム等の全てのことがコンピューターにプログラムされている。映画では、このプログラムを入手し、書き換えることで国家元首に成り代わる陰謀が描かれる。確かに兵隊はロボットで指令に従うので、有り得る事と思わせられた。
エリジウムへ入る個人資格は、上記プログラムに書かれており、DNA判定で審査されるが、最後にマックスらの闘いでプログラムを書き換え全ての人に開放されるところは、ハラハラドキドキしながら正義が勝ったようで痛快である。
コンピューターは融通が利かないので、悪用されるととんでもない事になるとの普遍的テーマを再認識した。
尚、エリジウムの治療カプセルに入ると直ちに病気診断が下され、治療が終わる描写は、お手軽過ぎてエエ加減である。

俳優では、防衛長官役のジュディ・フォスターが、最初は彼女と判らなかったが、スマートなスーツ姿(アルマーニ)で手段を選ばず権力を手にしようとする冷酷さで光っていた。(カッコイイ)
地球に滞在する傭兵クルーガー役のシャルート・コプリーも印象深い。防衛長官の命令でマックスと派手な死闘を演ずるが、残酷さと日本刀を使った強靭さは、見たら忘れられない。

監督は、南アフリカ出身のニール・ブロムカンプである。彼のSF映画「第9地区」を観たときのようなワクワク感、意外性は少なかったが、ハリウッドに招かれても単なる娯楽大作でなく、彼なりのアメリカに対しての視点、才気を感じさせる作品に仕上がっていたと思う。今後も要注目の監督だ。

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映画、クラシック音楽、料理、ゴルフが好きな中高年男です。 家猫1匹、外ネコ3匹に遊んでもらっています。

ボクダノビッチ

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