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映画「東京オリンピック」(昭和40年)

東京オリンピック

顔、顔、顔!! 人々の多様な表情に圧倒された

上映から50年も経て再び大スクリーンで観るとは思わなかった。映像は殆ど忘れていたので、色んな発見があり、あの頃を思い出して感慨深いものがあった。

東京オリンピックが開催された1964年は小生が中学1年生で、学校から聖火リレーを応援に行った事、翌年引率されて映画鑑賞したことを良く憶えている。
当時は、教育の一環で映画館での映画鑑賞が行われており、「華麗なる激情」、「東京オリンピック」、「戦争と平和 第一部」を学校から観に行っておりました。

「東京オリンピック」の映画監督には、黒澤明、今村昌平等の名前も挙がったそうですが、48歳の市川昆監督に決まりました。映像感覚が鋭く、気力・体力が充実していた彼の人選は、作品を観ると大正解だったと思います。
河野一郎担当大臣が、「記録か芸術か」とクレームを付け話題となりましたが、超望遠レンズを駆使して、競技前後の選手を表情豊かに捉え、当時の日本人の姿も鮮やかに写しており、素晴らしいドキュメンタリーに仕上がっていると思います。

◆◇ 気付かなかった点 ◇◆
この映画は、何せ顔、顔、顔のオンパレードなのです。従って、競技前の選手の孤独で不安な表情が数多く描かれています。この陰の部分は、今日のアスリートのスター然とした姿と違って、より身近な人間に感じさせ、映画が終った後も何かしら心に残ります。
① 男子100m決勝
クラウチングスタート用のスターティング・ブロックは選手自らが、ハンマーを打って設置していたのですね。また合図の言葉は、日本語の「位置に着いて」、「用意」で英語の“Ready”,“Set”ではなかったとは!新記録10秒0を出したボブ・ヘイズ(米)の力感溢れる走りをスローモーション撮影も交えて必死で追っています。
② マラソン
アベベ、円谷、ハドリーのトラック内の競争よりも給水所での光景が印象的です。立ち止まって水を飲む者、座り込んで走れなくなった者など敗者も良く描いています。
応援する側もおかっぱの女の子、坊ちゃん刈りの小学生など整然と礼儀正しく、農家の庭先からランナーを映した場面も日本の原風景を見るようで懐かしさで一杯の気分になります。
③ 射撃
朝霞射撃場、昼食をはさんで何時間も弾を撃ち続ける過酷な競技だと初めて知りました。一つの種目で数百発も撃つことがあり、裏方で的中度を数える人も写っています。
④ 集中力を高める仕草
試合に向けて集中力を高めていく仕草は、競技・選手毎に違うのですが、砲丸投げは一種独特です。8kgの砲丸を投げる男子競技で、ソ連のカラシオフ選手は何度も何度も投げることを中断し気持を高めて行ってます。
⑤ 雨の試合
ハンマー投げ、走り幅跳びなど大会期間中に雨の日もあったと知りました。スポンジで地面の水を吸い取る係員や番傘をさす外国選手も印象的です。

◆◇ 映像の鋭さ ◇◆
宮川一夫をはじめとして多くのカメラマンが動員してされ、上空からの撮影や超望遠レンズで克明に選手の顔の表情を追っているのには感心します。また意表を突くカメラアングルで被写体を捉えて、今観ても素晴らしいシーンが多くあります。
① 女子80mハードル
8レーンが横一列に並んだハードルを、前方真正面から見据えた場面にはハットさせられました。期待された依田郁子選手は五位入賞に終わりました。
② 体操
背景は全て黒にして選手の白い姿が浮かび上がって来ます。チャスラフスカ選手の優美な平均台演技も華やかです。鉄棒で真下から見上げて撮った映像は、どうやって撮ったのか本当にビックリしました。
③ 足の描写
開会式で多くの鳩を放つシーンで鳥が行き交い、入場選手が驚く様を足だけを写したシーンや、一目見ようとする観客の爪先立ちした足を後ろから写したシーンは作為的ですが印象に残りました。


◆◇ 才気溢れる音楽 ◇◆
映画音楽は黛敏郎が作曲して彼の多才さが発揮された素晴らしい曲が並んでいます。
① ヴォカリーズ
冒頭、ビルが壊される中、女声合唱のハミングが流れる。福島の子守唄をモチーフとした単調な曲で、この主題は後の曲でも次々に顔を出す。その後、ストラビンスキー「春の祭典」風の低弦がバリバリとリズムを刻む曲となり、タイトルが映し出される。
② 祝祭的な曲
開会式。オーケストラが祝祭的なファンファーレを強奏し気分も高揚する。
③ ワルツ
体操の場面で曲調が一転し、弦楽器が軽快なワルツ風の曲を奏で優美です。
④ ジャズの響き
八王子での自転車競技では、沿道に筵を敷いて老人が応援している。余りにも土俗的な風景の中に軽快なモダンジャズの響きが聞こえ、対比が洒落ている。


「オリンピックは人類が持っている夢の現れである」、「人類は4年に一度夢を見る。これを夢で終らせて良いものだろうか」のナレーションが流れる。東西冷戦下にユートピア願望を語るのは、ヒューマニスト的過ぎて作者の本意ではない感じがする。
むしろ今観ると、日本人が一つの価値観を強く共有した時代だったんだと思う。

本作は、アスリート達の心の揺れと肉体の動き、日本人の土俗的なものと新しいものに対する好奇心をシャープな映像で鮮やかに描いている。単なる記録を超えた、今でも新鮮さを感じる作品となっている。


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映画、クラシック音楽、料理、ゴルフが好きな中高年男です。 家猫1匹、外ネコ3匹に遊んでもらっています。

ボクダノビッチ

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