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映画「不良少年」(昭和36年、1961年)

不良少年

少年の揺れ動く感情がほのかに見え隠れする

ケーブルTVで初めて観たが、初々しさと詩的な感じを受けて心に残る作品であった。羽仁進監督作品は、寺山修司と共同脚本の「初恋・地獄編」(1968)を観た事がある。本作品も同じように美男美女の役者でなく素人の、どちらかと言えば不細工な、何処にでも居そうな人を用いてモノクロ ドギュメンタリー風タッチで撮っている。
過酷な内容で突き放した様にも見えるが、監督のどこか暖かな眼差しを感じるものがあった。

実は、この映画を観たお目当ては、武満徹の映画音楽を聴く事であった。彼が映画の世界に踏み出した、30歳頃の曲である。ギターを中心とした曲で、主人公の内面に寄り添うような親密な曲や明るさを含んだ曲など、清新な心を打つものであった。
クラリネット、ハープ、ヴィブラフォン、ギターが絡み合う終曲は、控え目ながら“武満サウンド”そのものだと感じ入った。
終りの方でカメラがグラウンドを俯瞰する時、主人公の歌が流れる。これは素朴で味があって大変良い。2分間位の短い曲だが、合唱曲に良く取り上げられているようだ。

〇と△の歌(まるとさんかくのうた)
  武満徹 作詞・作曲

  地球は丸いぜ
  りんごは赤いぜ
  砂漠は広いぜ
  ピラミッドは三角だぜ

  空は青い
  海は深い
  地球は丸い
  小さな星だぜ

  グラウンドは広いぜ
  ボールは丸いぜ
  ロシアはでかいぜ
  バラライカは三角だぜ

「‥だぜ」と声が伸び上がる所で彼の自己主張が聞こえてくる気がした。
武満徹は「もず」とこの作品でこの年、毎日映画コンクール音楽賞を初受賞する。その後、堰を切ったように映画音楽を創出していく。


映画は、主人公浅井少年が護送車で地検に送られるところから始まる。不良仲間と銀座宝石店で指輪、真珠ネックレスを強奪し補導される。東京少年鑑別所(練馬にあったのでネリカンの略称)での聴取、審判を経て、少年院に送られる。
シャバの回想シーンを交えながら海に面した少年院での一年間の生活が淡々と描かれる。


浅井少年は、父親は戦死、母親は行方不明で、浅草を根城とする孤児である。


少年院の独居房の様子、食事風景、体育教練(ウサギ飛びなど今では見られないナァ)、配属されたクリーニング科での執拗なリンチ、その後に移った木工科での教官、班長ら仲間達との交流、羽目を外した楽しい運動会等々と我々が知らない世界を見せてくれる。
また、浅草の夜の街や夜店、親切にしてくれたキャバレーのお姉さん、仲間の恐喝の様子が回想で描かれる。
隠し撮りのようで、結構 顔のクローズアップが多いので演出だと判るが、自然な感じである。オールロケで少年たち登場者は非行経験のある素人というところが、リアリティを産み出している。一方、指導側の大人たちはやや紋切り型である。

映画で印象的だったのは、夜の恐喝シーンである。サラリーマンから金だけでなく腕時計までも巻き上げる所や苦学生から六千円を奪う場面など、単に盗むのではなく、相手に言い含めて、因果を含めて盗ろうとする姿は、今日では見られないなと思った。盗られる側も生活が掛かっているだけに困ると執拗に食い下がるのだが‥。
盗んだ側は、嫌な思いを後々まで引き摺っている。
少年院の喧嘩のシーンは、「コノヤロー!」と叫んで殴りかかるが、これをやたら連発するのは、地方育ちの僕らから見たら東京の文化だなと思った。タケシの「アウトレイジ」もそうだったネ。


不良少年という言葉は、もう死語なのかなあと思う。しかし、市民の良識からはみ出して,暴力、窃盗や異性交遊をして、みずからの品行の悪さを誇ることにより,自己の存在を確かめようとする姿は、いつの時代にもあるものだと感じた。
若者の妥協せずに相手に突っかかっていくところや鬱屈した感じが良く出た映画だと思う。



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映画、クラシック音楽、料理、ゴルフが好きな中高年男です。 家猫1匹、外ネコ3匹に遊んでもらっています。

ボクダノビッチ

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