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映画「にあんちゃん」(1959年)

にあんちゃん(800x530)


貧しさに負けないバイタリティに溢れている


映画「にあんちゃん」をTVで初めて観た。
“にあんちゃん”とは、二番目のあんちゃん(兄)のことである。

今村昌平監督が10歳の少女が書いた日記(本)を基に映画化した。当時、ベストセラーになった本である。
昭和28~29年、朝鮮景気と神武景気の谷間で、中小炭鉱は休山で失業者が増加し、不況に喘いでいた頃である。佐賀県西端の炭住街を舞台に、どん底の生活の中でも健気に逞しく生きる4人の兄弟の物語を描いている。

全編オールロケで撮影され、今観ると解放感がある。撮影 姫田真佐久、音楽 黛敏郎と今村映画の人々が参加し、助監督に若き日の浦山桐郎がついている。

映画の冒頭は父親の葬式である。母親は無く4人の兄弟が悲しみに沈む中、近所の人が協力して葬儀を行う。棺を小船に運ぶ間、白衣のお婆さん(北林早苗)がアイゴー、アイゴーと叫んで付いている。この安本家は在日朝鮮人であることが判る。
家族は、長男喜一20歳(長門裕之)、長女良子16歳(松尾嘉代)、次男高一12歳、次女末子10歳からなり、高一(にあんちゃん)、末子を軸に物語は展開する。

一家の大黒柱を失い、昼の弁当が持っていけない、学校の教材費が払えない、毎日の米にも事欠き、近所に借りに行く様な貧しい生活である。
喜一は炭鉱臨時工だが、ストライキの多発する中、人員整理で解雇され、一家は社宅を出ざるを得ない。長男は長崎の工場へ、長女は唐津の肉屋へ住込み仕事へ出て、近所の辺見さん一家(殿山泰司)が 次男、次女を預かる。
高一は、廃品回収、夏にいりこ工場へ住込みアルバイトと逞しく積極的に動き回る。
辺見さんが炭鉱事故で怪我し、二人は居づらくなり…。

今観ると、貧困の生活や在日朝鮮人の主人公を良く描いたものだと感心したが、予測した以上に笑いが多くて明るさが支配しており、にあんちゃんの生活力、「バイタリティ」が圧倒的である。
挫けても挫けても将来に希望を託したいとする当時の日本人の姿が投影されているようだ。

貧しさ故に家族の諍いもあるが、兄弟のきずなは強く、家族を思いやる気持ちがしみじみと伺えて、この家族に「頑張れ」と応援したくなる共感を抱いた。
唐津バス遠足で、末子が昼休み姉のところを訪ねて会えなかったが、帰路出会う場面も胸が一杯になり良かった。

炭住街の人々の垣根の低い近所付き合いや、飄々と見守ってくれる小学校先生(穂積隆信)や若き熱血漢の保健婦さん(吉行和子)も好ましく、暖かく応援してくれる。

俳優は、今観ると皆若く熱演だなと思ったが、脇役の殿山泰司:この人は演技しているのか?何でも自然体に見える、浜村純:結核で自殺する役で少ない出番だが、弱々しく惨めったらしいところは抜群、の二人が存在感で光っていた。


文部大臣賞を受賞した本作について、今村監督は含羞をもって多くを語ろうとしなかったとある。悪人は出て来ず、類型的な善い人ばかり見られるのは、後年日本人の底流の変わらぬものを描こうとした彼にとって、本意でなかったのかも知れない。

映画は、登場人物は絶えず動いており、演芸大会、夏祭り、バス遠足と場面転換が早く、カメラアングルも工夫してあり、観る側を飽きさせない。
黛敏郎の音楽もマンドリンのトレモロを生かした甘い叙情味あふれる曲で忘れ難い。
この頃、彼は「豚と軍艦」、「非行少女」でも叙情的な甘い曲を書いていましたネ。

カメラマン姫田真佐久の『パン棒人生』を読むと、にあんちゃんの男の子は、最初、鉄棒も水泳も出来なかったという。スタッフが良く教え込んだものと思う。
ラストシーンで兄妹がボタ山に登り、カメラが引いて港を俯瞰する場面で、活気のない街のハズが大型汽船が写り込んでいたため、助監督の浦山桐郎が山を下って船を説得し短時間で移動させた熱血的なエピソードも書かれている。
若い人々の熱気で作られたような映画でもある。


綺麗ごと過ぎるが、その時代がキッチリ刻まれている思いがした。
貧しいが懸命に生きていたとは、その当時の日本人の多くが持つ感慨ではなかろうか。


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映画、クラシック音楽、料理、ゴルフが好きな中高年男です。 家猫1匹、外ネコ3匹に遊んでもらっています。

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