FC2ブログ

映画「アウトレイジ 最終章」(2017)

アウトレイジ

役者の演技力に魅せられた


採点 ★★★★

 週刊文春の映画評が星4つ、5つと良かったので観に行った。バイアスが掛かっているなと感ずる評者もいるが、真っ当と思う森直人氏が高評価だったから。
映画は、途中だれを感じさせることも無く、予想以上に面白かった。

 北野武監督は「アウトレイジ」(2010)、「アウトレイジ ビヨンド」(2012)、本作と三部作を7年に亘り製作してきたが、本映画を見て、それぞれが連携して大きな流れを作っていることが良く解り、大きな構想力に感心した。
皆さんにもこれら三部作全てを観ることをお勧めしたい。
『仁義なき戦い』、『ゴッドファーザー』に通じるシリーズものを観る楽しみがあると思う。


 物語は、関東の山王会、関西の花菱会の抗争から7年経ち、山王会は壊滅され、花菱組の配下になっている。逃げのびた大友組組長大友(ビートたけし)は在日フィクサー張会長の庇護の下、韓国済州島で過ごしていたが、花菱会幹部の花田(ピエール瀧)が騒動を起こしたことより、ヤクザの抗争が動き出した。
 花菱会会長は前会長の娘婿 野村(大杉漣)に引き継がれており、金を稼ぐこと第一にハッパをかけ、筆頭幹部の西野(西田敏行)、若頭補佐の中田(塩見三省)は、これを苦々しく思っている。
 張グループとのトラブルを口実に、野村会長は中田に反撥する西野を消すよう命じて、花菱会、山王会、張グループ 三者の抗争が始まるが‥。

 映画は、色んな人物が浮かんで興盛を誇っては消えていき、無常という風が吹いているような儚さを感じた。

 それから、喜劇と悲劇 あるいは滑稽と悲惨が、表裏一体である様子も浮かび上がっている。タケシだからとお笑いを期待していたからかも知れないが、どす黒いユーモア感は それ以上だ。
 北杜夫が悲劇の裏に喜劇があることを次のように書いている。
「チャップリンは少年時代、家の近所にあった屠畜場に連れていかれる羊の群れから、一頭が逃げ出すのを見た。みんなが追い回し、ぶつかったり転んだりした。其れは正真正銘の喜劇であったが、羊の身にとっては、のっぴきならぬ悲劇である。チャップリン作品のおかしさ、もの悲しさはこうして生まれている。」

 描かれている人物像は本物のヤクザ以上に怖く、特に西田敏行、塩見三省の演技は二作目も相手を追い詰める所が凄かったが、本作では更に奥行きが出て素晴らしい。幹部の出所祝いパーティで殺されたと思われていた西田敏行が現れて挨拶する場面は、何を言うかなと見守っていたが紋切型にならず感心した。
塩見三省は今回は威勢のいいところは抑え、上司の理不尽さに耐える様子を、サングラスの奥で目じりがピクピクする演技をして中間管理職らしい苦渋を良く現わしている。

 ヤクザ映画には、役者の意気なカッコ良さを知らず知らず期待しているが、シリーズを通じて感心した俳優は、歯切れのよい椎名浩平、チャラチャラしているが突き抜けた様な経済ヤクザの加瀬亮、重厚さを増した三浦友和である。彼等は良い意味でこちらの想像を越えた演技を見せており、これを引き出した北野監督も凄いと思う。

 本作は、タランティーノ監督のように即物的にお手軽に殺戮を繰り返すところに物足りなさもあるが、俳優陣の演技を観る楽しみが、それを上回っている。
  


line

comment

Secret

line
line

line
カレンダー
08 | 2018/09 | 10
- - - - - - 1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 - - - - - -
line
プロフィール
映画、クラシック音楽、料理、ゴルフが好きな中高年男です。 家猫1匹、外ネコ3匹に遊んでもらっています。

ボクダノビッチ

Author:ボクダノビッチ
FC2ブログへようこそ!

line
全記事表示リンク

全ての記事を表示する

line
最新記事
line
来訪者数
line
最新コメント
line
月別アーカイブ
line
カテゴリ
line
sub_line
検索フォーム
line
RSSリンクの表示
line
リンク
line
メールはこちらから
ご意見・ご感想をお待ちしております。

名前:
メール:
件名:
本文:

line
QRコード
QR
line
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

line
sub_line