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「婚約者の友人」(2017)

婚約者の友人

静かながら波乱に満ちた物語に魅了された


採点 ★★★★★

 久しぶりに映画らしい作品に巡り合い、胸がときめきました。昔、映画館でヨーロッパのモノクロ映画、例えばトリフォーの作品を観ていたような感じです。
 恋愛を軸にしたミステリー仕立てで、落ち着いた佇まいの中で静かに物語が展開し、次第に女主人公に肩入れし、ハラハラしている自分を感じました。
加えて、甘く切ない音楽、モノクロ画面から時折、カラーに切り替わる鮮やかさにも魅了されました。 

 1919年、第一次世界大戦後の敗北したドイツ中央部の田舎町 クヴェートリンブルグ(Quedlinburg)が舞台。ライプツィッヒ北西のザクセン=アンハルト州です。
男たちは、ドイツの再興を目指し小さな集会を開いています。

 24歳のフランツは、フランス戦線で命を落とし、彼の婚約者だったアンナ、診療所をいとなむ彼の両親ハンスとマグダも悲しみから立ち直っていません。
ある日、アンナはフランツの墓に薔薇の花が手向けられているのに気付きます。彼女は、宿泊先のホテルを訪ね、アドリアン・リヴォワールという名のフランス人青年である事を知り、家に招きます。

 アドリアンの来訪は、フランツの友人かも知れないと思うアンナとマグダを喜ばせます。一方、父親のハンスは交流を拒絶します。
二回目の来訪で更に打ち解けてきますが、この青年は何か隠していると観客にも思わせます。私には、この端正だが線の細い弱々しい姿から、親友というより同性愛者と思ったのですが。
 アンナはアドリアンと親密に交流し好意を寄せますが、アドリアンは苦悩の末、彼女に真実を告白して、フランスに戻っていきます。
真相を知らされないハンスとマグダは、アンナに彼を探すよう勧め、彼女はパリに向け旅立つが…。

 こちらの想像を次々に裏切るストーリーで、感情移入して観ると意外性が小気味いい感じです。
ラストで主人公がアドリアンが語っていたマネの絵を見つめ、『この絵が好きよ。生きる希望が湧くの』と語る場面は、彼女が自殺するのではと心配していたのですが、アンナが暗い感情から抜け出し、未来に向け一歩踏み出したようで爽やかでした。


 映画で感心したのは、
①穏やかな雰囲気
 俳優陣が良いですね。アンナの義母を演じるマリエ・グルーパーは、相手を思いやる細やかな心遣いが伝わってきて、根っからの善人を示しています。
義父ハンス役のエルンスト・グルーバーも厳格さの中にも自分の至らなさ、脆さを表現して好演です。
訪ねたパリの墓地でアンナが出会うアドリアンの親戚、シャーロット・ランプリング似の女性も一瞬だが、眼の表情が“Good Luck”と言っている様で印象的でした。

 音楽は、ショパンの「ノクターン20番嬰ハ短調 遺作」がピアノからヴァイオリン曲に編曲され効果的に使われています。フランツの遺品のヴァイオリンを弾いてほしいと頼まれアドリアンが弾くシーンは、甘さと悲しみを湛え、こんなに美しい曲だったんだと感じいりました。

②戦争の愚かさ
 戦死したフランツは、フランス語に流暢で、ベルレーヌの詩を朗読する程です。そして、「ドイツとフランスは、お互いの言語を学ぶが、それが殺し合いをしている」と嘆きます。
 義父ハンスは、息子に出征を勧めた事を後悔し、「子供を戦地に送り出したのは、我々ではないのか。敵方の若者が大勢死んで祝杯をあげるのは、もう沢山だ。」と反仏の集会をしている父親世代の人々に説きます。
自分が父親世代なので、この嘆き、戦争の愚かさは良く伝わりました。


 本作品は、田舎町で慣習に抑圧されていた女性が、自ら外の世界に踏み出し、自分の世界を取り戻していく物語にも思えました。
そして、カラー画面に切り替わるところは、アンナがささやかでも希望を抱く場面で印象的でした。


皆様にも是非お勧めしたいと思います。



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プロフィール
映画、クラシック音楽、料理、ゴルフが好きな中高年男です。 家猫1匹、外ネコ3匹に遊んでもらっています。

ボクダノビッチ

Author:ボクダノビッチ
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