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映画「恍惚の人」(昭和48年)

恍惚の人


有吉佐和子の大ベストセラー小説を豊田四郎監督が映画化した。
痴呆症老人の問題は古くて新しい問題だが、映画封切り当時は、現実をリアルに描いたという事で反響が大きかったものと思う。

今回、BS放送を録画して初めて観たが、映像がこちらの想像力を超えて行くところまでは、至らず、話は予想される範囲で収束し、ある意味期待はずれであった。
老人介護問題は、これまで多く語られており、こちらの知識も溜まっているからでもあろう。
しかし、家族を献身的に介護する話自体には、心動かされるものがあり、題材の重さと作品の出来には違いがあるナァと感じた。

映画では、84歳の老人茂造(森繁久弥)が老妻の死を契機に痴呆が始まり、隣家の長男夫婦が介護を始める。嫁の昭子(高峰秀子)は勤めを持っているが、茂造に献身的につくす。茂造は徘徊、夜中の騒ぎ、入浴の世話、食事の催促、トイレへの立ちこもり、布団への大小便のお漏らしと騒ぎを次々に巻き起こし、家族は振り回される。雨の日に飛び出した茂造は、肺炎を引き起こして息を引取る。

若い頃観れば、自分の親がこんなになったらどうしようと思っただろうが、中高年になって、一時的な物忘れや顔を見ても人の名前が咄嗟に出て来ない事を自覚するようになって観ると、立場が逆転して、自分が茂造のようになったら家族に迷惑をかけてしまうとつくづく思う。健康の有難さと共に健康維持の努力も怠ってはいけないと痛感した。

映画では、日本の高度成長期の様子が記録されている。
昭和40年代は、未だ家の単位がしっかりしていて、家庭内の問題は家の中で処理してた時代である。家族の介護は、主に女性が世話に当って、映画のように男共は役に立たず、嫁さんばかりが献身を強いられていた時代である。男は家の外で戦い、女性は家を護る、役割分担が明快な時代でもあった。当時は、冠婚葬祭で葬式なども自宅でやっていた事を思い出した。

映画を観て不自然に思えたのは、茂造は突然、認知症が発症した事になっていたが、前兆というか、徐々に発病するのではと思う。また彼が、ネクタイ、背広姿で正装して徘徊するところも変な感じがした。こういう行動をするものだろうか。

悲惨な話だが、美しい場面が織り混ぜてある。第一は、高校生の孫 敏が老人にキチンと向き合って対応している事である。嫌いもせず素直に受入れている。
第二は、雨の中に飛び出した老人が秦三木の白い花を見つめているシーン、老人の中に美しいものを愛でる心が未だあることを昭子も感じた。
第三は老人が亡くなった初七日に、昭子が籠の小鳥と向き合って「もしもし」と話しかけて茂造との心の交流を思い出し泣くシーンである。いずれもシンミリさせられる。

女優二人は舌を巻く位に演技が見事である。妹役の乙羽信子は、父の介護を兄夫婦に押し付け、何かと口だけは出す、意地悪な性格をさらりと出している。
高峰秀子は眼の表情で感情の蔭り、不安とか色々な感情を上手に表している。声も良く通り自然体に見える演技でうまいものである。

豊田四郎監督は、文芸作品を多く作って高い評価を得てきた人である。私も東宝の「夫婦善哉」、「雪国」等を観た事があるが、シャープさに欠けるというか、良さが良く解からない所がある。

本作品は、豊田監督が後半体調を崩してキャメラマンの岡崎宏三が仕上げたそうである。暗い、描き様によっては汚い題材があるだけにモノクロ映画で仕上げた良さがある。
しかし、この映画は良質なホームドラマの域を出ていない所が大きな欠点であると思う。

原作者の有吉佐和子は、毀誉褒貶の多い人だったが、作品によってはミッチリ書き込んでいる作品も多く、再評価が始まる事を期待したい。

theme : 映画感想
genre : 映画

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映画、クラシック音楽、料理、ゴルフが好きな中高年男です。 家猫1匹、外ネコ3匹に遊んでもらっています。

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