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映画「おとうと」(昭和35年)

おとうと


幸田文の原作を水木洋子が脚色し、市川崑監督が映画化した。
大正時代のモダンな様子を背景に、古い家族関係のしがらみの中で姉弟の愛情を新感覚的に描こうとしている。
銀残しという現像法を新たに採り入れており、カラーの色も黒っぽいセピア調の色彩となり画面に深みが出ている。

げん(岸恵子)20歳と碧郎(川口浩)17歳の姉弟の物語。父親(森雅之)は世に知られた作家で、母親(田中絹代)は後妻で病気がちである。経済状態も思わしくなく、家庭は暗かった。
甘ったれの碧郎は、警察の厄介となる事件で家族に面倒ばかり掛けるが、姉のげんは一生懸命庇っていく。碧郎が不治の病に侵されて行くが‥。

後妻の継母との折り合いが悪い中、不良の弟を甲斐甲斐しく面倒をみる姉という愛情劇だが、こちらの予想通りに破綻無く話が進み、物語に意外性が無いので、やや物足りなく感じられた。美人のげんに色んな男が纏わりついて来るが、碧郎の助けで意外とあっさり消えてしまう。
最後は、弟の死を前に、全員が善人に描かれる。

リューマチで体が不自由な母親役の田中絹代は、嫌味でありながら自分の正当性を主張する演技で、言葉使いが素晴らしい。演技としては、この映画の中でピカイチだと思う。
しかし、こんな口うるさい人が身近に居たら息が詰まるだろうなァ。

一方、姉と弟の方は、もう少し掘り下げて描いてあったらと思う。

弟碧郎は、書店での万引き、競艇、競走馬と次から次に不良に走るが、家族の困窮が判るのに何故無法図な行動ばかり取るのか、家族に甘えているのは解かるが、本当のところ若者の内的衝動とか内面の焦燥感とかが見ているこちらには、良く伝わって来ない。
また姉に恋心を抱く工場の若者(若き日の伊丹十三、奇妙な印象ではあるが)が出て来て、弟たちが、からかうシーンなど差別的で良い感じはしない。

美人の姉げんは、活動的で良く家事をし、主張する所は、はっきり言う江戸っ子気質で、陰日向に碧郎を擁護する。碧郎の病床で高島田を見せようとする健気さも見せてくれる。
でもやや不満だったのは、げんの話し方などが、外に向って発散するだけの印象で、内面的な思いが、あまり描かれていないような感じも受けた。
継母をどう思っているのか、どう折り合いをつけようとしているのか、結婚への憧れ等、映画からだけでは解からない気がする。
20歳の主人公を当時28歳の岸恵子が演じているので、初々しさが足りないのかな。

その他、碧郎に甘い重厚な父親に森雅之、美人看護婦に江波杏子、医師に浜村純としっかりした演技陣が脇を固めている。

この映画は、和服の美しさが良く描けている。絣や女学校へ通う袴姿や高島田を結った紫色の着物などが、多く出てきて当時の様子を浮かびあがらせる。げんが家事をする際に、たすき掛けをするシーンなど、今ではもう見ないが、昔を思い出させた。

市川崑監督は、名キャメラマンの宮川一夫と組んでスタイリッシュでモダンな大正を描こうとしたのだろうが、ドロドロとした親子関係は旧習の通りで、両者が混在して、収拾がついてないきらいがあると思う。

音楽は芥川也寸志で後年の清潔で溢れるような音楽ではないが、控え目で叙情的な曲を添えている。

theme : 映画感想
genre : 映画

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映画、クラシック音楽、料理、ゴルフが好きな中高年男です。 家猫1匹、外ネコ3匹に遊んでもらっています。

ボクダノビッチ

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