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映画「バベットの晩餐会」(1989年)

バベット


女流作家イサク・ディーネセン(1885~1962) の原作を忠実に映画化している。彼女のアフリカ体験を描いた「アフリカの日々」も「愛と哀しみの果て」として映画化され有名となった。彼女は、細やかな感性を持った意思の強い女性として、多くの読者を魅了している。
バベットの晩餐会では、彼女が46歳の時、ケニアからルングステッドルンドへ戻って来た心情をバベットに仮託しているのであろうか。また素晴らしい夕食会を開いていたともある。デンマークの国民作家で2度ノーベル文学賞にノミネートされている。

尚、デンマークは、地図で調べてみると、ユトレヒト半島、シュラン島、他の島々から成るが、ルングステッドルンド(Rungstedlund)は、ユトレヒト半島東のシュラン島のコペンハーゲン北に位置する土地である。彼女の記念館があり、海岸に面して夏は海水浴客で賑わうそうである。

映画は、19世紀後半デンマークの海沿いの寒村に、二人の美しい姉妹マーチーネ(ヴィーベケ・ハストルプ)とフィリバ(ハンネ・ステンスゴー)が住んでいた。父親は、あるプロテスタント宗派の創始者で教会の牧師をしており、わずかな収入で慈善を施している。娘の名前はルターとその友にちなんで付けたという。姉妹は村を離れる道もあったが、父親と教会に仕える道を選んだ。ある嵐の夜、フランス革命からの難民女性、フランス人カソリック教徒のバベット(ステファーヌ・オードラン)が訪ねて来て、家に置いてメイド、料理人、家政婦の仕事をさせて欲しいと懇願した。貧しい家で当惑するが、無償でもよいとの事で家に置くことにした。
月日は流れ、バベットも二人に無くてはならない存在となっている。父親が亡くなって姉妹は教会を運営し、少なくなった師の弟子たちと共に学んでいる。
しかし、年老いた信者達は、集会で些細な諍いも起すようになり、二人は心を痛めていた。姉妹は、父親の生誕100周年を祝うささやかな晩餐を開いて、皆の融和を取り戻そうとするが…。

バベットの申し出で準備する豪華なフランス料理が、この映画のハイライトである。
遠方から調達してきた多くの食材、生きた海亀、ウズラ、氷の姿が、これから作られる料理がどんなものなのか、観る者をワクワクさせながら引き込んでゆく。
昔マーチーネに恋心を抱いていた将軍もやって来て12名の料理である。

料理のメニューは以下の通り。
1.  海亀のスープ
2.  キャヴィアのドミドフ風、ブリニ添え
3.  ウズラのフォアグラ詰めパイケース入り
4.  サラダ
5.  チーズ盛り合わせ
6.  ラム酒風味のサヴァラン
7. フルーツの盛り合わせ
8. コーヒー

その他、高価そうなお酒が多種出てくる。
料理では、1~3が珍しく興味を引き立てる。将軍がオーブンで焼いた3のウズラの頭をチュウチュウ吸う場面は、美味そうだが腰が引けてしまった。

普段の料理も描かれている。固いパンをビールと水で戻したスープや干しヒラメを水に浸して柔らかくした質素な料理である。

姉妹、信者達は、贅沢で堕落するのを恐れ、晩餐会で料理の事を口に出すのは控えようと申合せる。一方、それを知らぬ将軍は、各料理、酒にコメントし賞賛する。映画の観客は、彼の言葉で料理の素晴らしさに思いをめぐらす。
信者達は満ち足りて、今は無き牧師の昔の思い出を問わず語りに話し出す。
初めて牧師がやって来た時の事や自分を立ち直らしてくれた感謝の念を述べるシーンは、料理のもたらす偉大さを知らしめ心温まる。
私等の法事で親族が集まった時に、料理を介して昔の人の話をするのに似ていると思う。

姉妹が若い頃、二人の男が訪ねて来る。
一人は、身を持ち崩した軽騎兵中尉でマーチーネに惹かれ、恋破れて去っていく。
もう一人は、オペラ歌手のパパンでフィリバの歌声の見事さに魅了され、レッスンを申し出る。ここで用いられる音楽は、皮肉たっぷりで知性が感じられる。
モーツァルトの歌劇「ドン・ジョバンニ」第一幕からドン・ジョバンニとツェルリーナの二重唱が歌われる。これは、女たらしのドン・ジョバンニが清純なツェルリーナを誘惑する歌であり、違和感を感じた敬虔なフィリバはレッスンを断る。
二人の男は、人生の満たされぬ思いを胸に後半にも登場する。

冒頭、食事のスープを近所の老人たちに配る姉妹の姿や質素なプロテスタントの賛美歌や聖書の言葉が多く出てきて、敬虔な思いになっていく。特に「人は与えた物だけを天国に持って行ける」という言葉には、普段気づいていない事を指摘されたようでハットさせられる。
また年老いる事、収入が減る事などの悲劇的な事を深刻に取らないデンマーク人の気質も、さりげなく描かれている。

またバベットの過去や料理に掛かる大金をどうしたかは、映画を観てのお楽しみである。

この映画は、珍しく料理を作ること、食べる事を主題にしており、料理を作ることは、芸術家の創作と同じであるという主張が、料理を作り終えたバベットの表情からストレートに伝わり清々しい。また心のこもった料理は、人の心を優しくするというテーマもジンワリと胸に沁み、暖かな気持ちになる映画である。デンマーク語、フランス語での会話である。

theme : 映画感想
genre : 映画

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映画、クラシック音楽、料理、ゴルフが好きな中高年男です。 家猫1匹、外ネコ3匹に遊んでもらっています。

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