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映画「逃亡地帯」(1966年)

逃亡地帯


アメリカ人の集団心理による圧倒的な暴力を描いた現代劇である。
ホートン・フートのベストセラー小説をリリアン・ヘルマンが脚色し、脂が乗り切った時期のアーサー・ペンが監督をした。原題は ‘The Chase’

映画館で内容を全く知らずに観た時は、後半の畳み掛けるような暴力シーンの緊迫感に、手に汗をかいて息を呑んで観て、集団暴力の底知れぬ恐ろしさを感じた。大スクリーンで感じた群集の迫力も圧倒的である。

石油成金が支配する南部の小さな町(どこかは示されていないが、テキサス州の町らしい、swampと呼ばれる南部湿地の描写がある)での黒人差別、乱れた男女関係、市政の腐敗、平気で銃を向ける暴力主義が描かれる。登場人物は皆、退廃的で胡散臭い人々ばかりである。

石油成金バル・ロジャース(E・G・マーシャル)の私有地と至る所に書かれている町に、
地元出身のババー・リーブス(ロバート・レッドフォード)が脱獄したと伝わる。
町は、歯科用品協会大会で人も集まっており、ババーと何らかの利害がある人々もおり、騒ぎが広がっていく。
バルは一人息子のジェイクを愛しているが、ジェイクは反発し、幼馴染のババーの妻アンナ(ジェーン・フォンダ)と不倫関係にある。銀行副頭取のエドウィン(ロバート・デュバル)は、若い頃ババーに罪を着せた事を気にしている。ババーの両親は、彼の救出を願い保安官の所へ出向く。

町の保安官カルダー(マーロン・ブランドー)は、バルの後押しもあり、傀儡と見なされているが、法に従い事態を冷静に対処して、ババーの身柄を安全に保護しようとする。
土曜の夜、退廃的なパーティに興ずる人々は、次第にババーを追い詰める事に熱中し出す。
暴漢達は、保安官事務所を襲い、カルダーを痛めつけ、黒人レスターからババーの潜んでいる場所を聞き出す。左目蓋を腫らした血だらけのカルダーが立ち上がるところから緊迫度が一気に高まっていく。
波止場の廃車置場に集まった群集は、彼をあぶり出せと照明弾、ガソリンと次々に火を付けて熱狂して行く。火の中で逃げまどうババー、ジェイク、アンナの三人、息子を助けようとする父親のバルと混乱はエスカレートしていく。
カルダー保安官は、何とかババーを保護し、保安官事務所前まで連行するが‥。大勢が集まる中で緊迫度は頂点に達し、救い難い悲劇が起こる。

アメリカの暗黒面をこれでもかと畳み掛けるように見せ付けるアーサー・ペンの演出力は、力がこもって観応えがある。
一方、カルダーの主張や二人の男の間を揺れるアンナの思いは、説明が不十分で、観ている側は消化不良気味となる。最後にババーを狙撃する男の動機も良く判らない所がある。

翌朝、町を去っていくカルダー夫婦、息子を失ったバル、アンナと救いは何処にもない。
今観ると、人種差別、性革命を謳う女、退屈な土曜の夜に何かを求める隣人達、聖書の教えを声高に押し付ける老女と、淀んだ60年代半ばのアメリカが巧に描かれている。

有名な俳優が大勢出てくる。マーロン・ブランドーは、演技は上手だが、性格がはっきりせず空回りのところがある。こちらが感情移入しようとするとイライラする。無名のロバート・レッドフォードが重要な役で出てくるが、善人過ぎる顔で凶悪犯には見えず、やや損をしている。
シンガー・ソングライターのポール・ウィリアムズがチラッと出てくる。子供のような小男で、犯人狩りに物見遊山気分で集まってくる人々に混じって、ギターで歌うシーンがある。

音楽は、ジョン・バリー。メリハリの利いた緊張を高める音楽でサスペンス感を高めている。

プロデューサーのサム・スピーゲルとアーサー・ペン監督は、アメリカの救い難い暗部を描いて、壮大な物語を作ろうとしたのだろうが、成功したとは言い難いと思う。

尚、サム・スピーゲルは、ポーランド生れのユダヤ人。ハリウッドに移り、50~60年代は「波止場」、「戦場にかける橋」、「アラビアのロレンス」と立て続けに名作のヒットを飛ばした。飛ぶ鳥を落とす勢いであったが、この作品を契機に落ち目になって、晩年はイスラエルとの関係を深めている。
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映画、クラシック音楽、料理、ゴルフが好きな中高年男です。 家猫1匹、外ネコ3匹に遊んでもらっています。

ボクダノビッチ

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