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映画「スローなブギにしてくれ」(昭和56年)

スローなブギ-2


片岡義男の小説を藤田敏八が監督した角川・東映映画である。
二人の男の間を若い女が揺れ動く話であるが、旧米軍の白い集合住宅に住む中年男のアメリカ風のライフスタイルが、当時は贅沢で垢抜けていて清新な感じがしたものだ。

中年男を演じた山崎努が、アメ車ムスタングを颯爽と走らせ、孤独感も滲ませ大変かっこ良く、他の若者二人を完全に喰ってしまっていた。古尾谷雅人も浅野温子も体当たりの熱演なのだが、山崎努の印象が強い。今観ると、中々の美男子である。

四季仕立てで、物語が夏に始まり、翌夏に終る。
白のムスタングに乗った男(山崎努)が猫好きの若い女の子、さち乃(浅野温子)を放り出すところから始まる。オートバイの青年ゴロー(古尾谷雅人)が助けて、二人は一緒に暮らし始める。大勢の子猫に占領されるゴローの部屋。
ムスタングの男は、福生の旧米軍ハウスで輝男(原田芳雄)と敬子(浅野裕子)の三人で暮らしている。奇妙な共生関係。居候風の原田芳雄も存在感があるが、ジョギング中に直ぐ死んでしまい、キャラクターが良く判らない。輝男の通夜で浜村純の父親が三人の関係を糾すが、「家族というか‥」と要領を得ない。
スナックでバイトを始めたさち乃と連絡を取り高原ホテルへ誘惑するムスタング男、嫉妬するゴロー、さち乃が暴漢に乱暴され、ゴローが一途に復讐を果たしたりと、話がコロコロ変わっていくので、面白さはある。内田栄一の脚本の上手さかな。
またスナックのマスター役の室田日出男が好演で目立っていた。

山崎努が別居中の妻との離婚、子供のピアノ演奏会で感傷的になり、自暴自棄になるシーンは、男の哀切感が漂い彼の独壇場である。また8ミリカメラを廻して周りの人々を写す場面も映像を知っている人らしく、即興性が生かされ印象的である。
最後はゴローとさち乃は一緒になり、心機一転穏やかな生活を始め、破滅型の山崎努は心中未遂で生き残っていく。

昭和56年は、憶えている事件としては、中国残留孤児の初帰国、三和銀行伊藤素子1.3億円詐取事件、福井謙一先生のノーベル化学賞受賞等である。歌謡曲でルビーの指輪(寺尾聡)、ザ・ベストテンのTV番組がヒットした頃で、景気は低迷していたと思う。
映画に映された米国製のムスタングや大型冷蔵庫を憧れるような気持ちで眺めた事を思い出した。未だ豊かではなかったと思う。しかし将来の希望もあった時代である。

藤田敏八監督(1932―97)は、60年後半から70年代の日活映画を背負っており、日活がロマンポルノに路線を変えて行く時の最後の監督である。「八月の濡れた砂」(1971)、奔放な桃井かおりを初めて見た「赤い鳥逃げた?」(1973)、「帰らざる日々」(1978)等をリアルタイムで観ていたが、時代に反抗する若者を主人公に、当時の浮遊する空気を巧みに描き、全共闘崩壊後の左派が心情を仮託していたと思う。
しかし強烈な自己主張が無く、プログラムピクチャーに近いところで、さり気なく自分を出していたので、巨匠達の映画に比べ物足りなさも感じていた。

本作は、男の心情だけ伝わって、女性陣の考えがはっきり描かれていない点は残念である。
しかし南義孝の伸びやかなテーマ曲と相まって、当時の空気感は良く出ていたと思う。
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プロフィール
映画、クラシック音楽、料理、ゴルフが好きな中高年男です。 家猫1匹、外ネコ3匹に遊んでもらっています。

ボクダノビッチ

Author:ボクダノビッチ
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