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映画「アリス・クリードの失踪」(2009年)

アリスクリードの失踪


英国での誘拐を描いたサスペンス映画で、イギリス人30代前半のJ・ブレイクソンが脚本を書き、初めて監督した作品である。予備知識無く観たところ、意表をつく展開で中々やるなァと感心した。

低予算の製作費という事でロケーションやセット、登場人物に制約が多かったと思われるが、これを逆手にとって面白味を追及した事が成功している。
アリスを演じるジェマ・アータートンの撮影には、わずか4週間しか取れなかったと読んだ事がある。

登場人物は、わずか三人のみ。
撮影場所は、大半は誘拐監禁している部屋と大型バンの中とシンプルである。

冒頭、男二人組が駐車場で大型バンを盗み、ナンバープレートを付け替え、ホームセンターへ買出しし、アパートの部屋を改造(カーテンを外し、窓を塞ぐ)する。
森で赤い布を付けた木の根元に穴を掘り、ベッドを購入し組立て、固定具の取付け、ドアに鍵を付ける作業を5分位で進めていく。
二人は、何も喋らずテキパキと仕事を進めていく。

次に配達員のような服に着替え、ある家の前に車を止めると、突如袋を被せた若い女をバンの中へと運び込むシーンとなる。女はバダバタし声をあげ必死で抵抗する。
女をアパートの部屋へ運び込み、全裸にしてベッドの四方に手足を縛りつける。
家族も一緒に観ていて、猿ぐつわをするシーンとなると、これはポルノ映画ではないかと思われ思わず冷汗(笑)。恥ずかしかった。

携帯電話を3台用意し被害者の親に連絡し、娘の怯える姿をVTR撮影してメールで送りつける。要求金額200万ポンド(2億6千万円)。用意周到で手際の良さが際立っており、おぞましいが誘拐の手順を覗き見るような面白さもある。

しかし、所詮相手は生身の人間である。大声も上げれば、必死の抵抗もする。食事もするし、出すものも出す。ものを扱っているようでも、人間を扱う煩わしさが浮かび上がってくる。

二人組は、刑務所で知り合ったヴィック(エディ・マーサン)とダニー(マーティン・コムストン)。ヴィックがリーダー役で冷静沈着に計画を実行していく。
ダニーは、おとなしい温和な性格でヴィックの指示に従順に従っていく。
誘拐されるアリス・クリード(ジェマ・アータートン)は富豪の一人娘の役柄だが、何故かしら上品な金持ちの娘には見えない。無表情で剥き出しの本能が強く出ている印象である。

ネタバレになるといけないので、詳しくは書けないが、特に感心したのは、三人の力関係が次々に逆転し、意外な展開を生んでいくところである。
これは、アクションでも起こるし、また人間関係でも、男女の恋人関係から男同士のゲイの関係へと変化していくところでもびっくりする。
小さなアクシデントが秘密を産み、これに伴い、登場人物の心の中でお互いに猜疑心が生じて行く。
このアクセントとして、暴発した拳銃の薬きょうが上手に扱われている。

前半のストーリー展開は、予測出来ない話の連続で、大変上手いと関心させられた。
終盤は、身代金を手に入れたが、疑心にかられた三人が殺し合いを演じるという予測出来る物語が続き、やや腰砕けだったので残念である。コーエン兄弟の「ミラーズ・クロッシング」に似た場面もあった。最後は、題名通りの結末となる。

誘拐で最も難しいと言われる身代金の受け渡しは描かれておらず、拍子抜けであった。
また、ヴィックが身代金を手に入れた後、アリスを監禁している倉庫に立ち戻る理由は何故なのか、やや意味不明である。高飛びすれば良いハズだが。
それから、三人がお互いにどう思っているか心の中は描かれておらず、情緒的なものは殆ど排除されているので、ここにも不満は残った。
アリスのパンダ・メイクは、感情を覆い隠す仕掛けを狙っているのだろうか。

誘拐犯罪映画としては、誘拐された金持ち娘が、次第に犯人に心惹かれていく様を描いたロバート・アルドリッチ監督の「傷だらけの挽歌」を思い出してしまった。こちらは、激しい暴力と揺さぶられるような情感があった。

ともあれ、この映画では、新しい才能を強く感じ嬉しく思った。J・ブレイクソン監督の次回作も是非期待したい。
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映画、クラシック音楽、料理、ゴルフが好きな中高年男です。 家猫1匹、外ネコ3匹に遊んでもらっています。

ボクダノビッチ

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