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映画「いちご白書」(1970年)

いちご白書2


ネットで見るとカルト映画とありビックリするが、一部の熱狂的ファンに支持される作品の意味らしい。過去をノスタルジックに振り返るユーミンの歌にもなって有名な映画であるが、今回が初見である。ビデオ、DVDにもなっていなかったようで、映画館での再上映は有難い。

60年代後半の時代を映して、サイケデリック・アートの明るい浮遊するような感覚、学生運動の自由な高揚感と挫折のヒリヒリする感じが良く刻み込まれていると感じた。
少し遅れて大学生活を過ごした身としては、彼らの行動も解かり過ぎるし、論評の仕様が無いのだけれど、簡単に感想を書いてみたい。

サイモン(ブルース・ディヴィソン)は、ボート部で練習に明け暮れるノンポリの大学生である。部員は右寄りの保守の人ばかりであるが、サイモンは満足している。同じボート部で同居人のチャーリー(ダニー・ゴールドマン)が連れ込んだ女子学生から、学生による学長室占拠の話を聞く。近所の公園に予備将校訓練ビルを建てる計画に大学が加担し、学生が反対してストライキをしていると。
好奇心に駆られたサイモンは、学長室を覗きに行き、活動家たちと一緒に行動するようになる。女性解放委員のリンダ(キム・ダービー)と知り合い、積極的に学生運動に加わる事になる。一緒に食料調達に行ったり、公園デモで警察に検挙されたりして、サイモンはリンダに恋心を抱くようになる。キム・ダービーは、初々しく大変かわいい。
リンダは、彼の闘争に対する態度に疑問を感じ、彼から去っていく。ここらあたりの二人の気持ちのズレは上手く描かれていない。
サイモンは運動にのめり込み、黒人活動家達と協力して数百人で大学講堂に座り込む。リンダも加わった夜、州兵と武装警官が排除のため襲い掛かり、催涙ガスを撒き棍棒を振り下ろす。

原作はNY コロンビア大学で起こった学生ストライキを描いたジェームス・クーネンのノンフィクション作品である。舞台を坂道が多いサンフランシスコの大学に変えてある。アメリカはベトナム戦争末期でもあり、混沌とした社会の中で、若者は反戦を掲げ、自由と平和を求めた時代である。
原題は“The Strawberry Statement”。学生の大学運営への意見は、学生がイチゴが好きといってる程度で取るに足りないという学長のコメントによる。


映画は、ノンポリ学生が右往左往しながら、何かを求めていく青春彷徨という面が強いが、サイモンの内面の変化は良く描かれていないので、何に目覚めて何処に向うかは不明である。サイモンがこの大学に苦労して入れたと告白する所は本音らしくて良かった。
最後のシーンは、リンダを捕まえた警官に向って、サイモンが飛び掛るストップ・モーションで終る。ここにあるのは、権力に対する強い怒り、憤りである。
彼のその後の人生は、自分で考える草の根運動に繋がったのか、どうなったのかずっと気になった。

笑えたのは、占拠したコピー室で巨乳女子学生が「レーニンはバストの大きな女性が好きだったと知っている」と言って、サイモンを誘惑する所である。

音楽は、懐かしくて胸が一杯になる曲がちりばめられている。
冒頭の「サークル・ゲーム」は、ジョニー・ミッチェルが作曲し、バフィ・セントメアリーが歌ってヒットした。22歳のミッチェルが21歳になったニール・ヤングに贈った曲で、フッと聴いているだけなら明るい響きで気付かないが、時が過ぎ行く事を回転木馬がまわる事になぞらえ、昔には戻れず、ただ後ろを振り返るだけだよと歌って、過ぎ去った10代を詠嘆している。
And go round and round and round
In the circle game
「サークル・ゲームの中で、回り回り回っていく」というリフレインが続いていくところはなかなか良い。

ラストは講堂の場面である。数百人の学生が同心円状に輪になって座り、床を叩いて“Give Peace a Chance” 「平和を我等に」(ジョン・レノン&ポール・マッカートニー)を合唱する。真上から捉えている映像も良く、地鳴りのように響き感動的である。

デジタル・リマスター版による再上映ということだったが、画質は退色もあり、あまり良くない。カメラの急なズームイン、ズームアウトの操作も多く、観辛い点もある。

完成度は高くないが、学生生活や学生運動の様子が誇張無く描かれており、好感が持てた。
日本でもあの頃、携帯ラジオ、レコードを良く聴いていましたね。
社会と上手く折り合いをつけられない学生の不器用な生き方は、純粋さの裏返しでもあり、あの時代の学生運動を冷徹に映していると思った。


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