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映画「名探偵登場」(1976年)

名探偵登場 

名優達のコミカルな演技に乾杯


このところ録画しておいたポアロ、ミス・マープルの探偵シリーズを観て愉しんでいるが、何れも犯人の予想は殆ど当らない。登場人物が多すぎて、その関係がサッと頭に入らない事にもよるのだろう。しかし、犯人を忘れた頃、再び観て味わうのも楽しいものだ。

さて「名探偵登場」である。喜劇作家のニール・サイモンが脚本を書き、ロバート・ムーアが初監督した名探偵物のパロディ・コメディである。原題は“Murder by Death” である。
アガサ・クリスティなどの推理小説では、最後の5ページで話が急展開し、名探偵が犯人を当ててしまう事に我慢がならぬという事で、この話を書いたとの事である。
尚、三谷幸喜監督は、日本の喜劇映画をリードしているが、このニール・サイモンとビリー・ワイルダー監督を敬愛している事で有名である。

大富豪ライオネル・トウェインは、世界的に有名な名探偵5人と助手達を晩餐会に招待し、霧深い夜に森の中の彼の屋敷へ10人が集結する。招待状には「謹んで晩餐と殺人に招待します」とある。
深夜11時を過ぎ、食堂に集まった客にトウェインから「1時間後の12時にこの部屋の誰かが殺害される」との予告とともに、「犯人を指摘した者に100万ドル(税抜き)+出版権+映画化権をさしあげる」と挑戦がなされる。集まった名探偵に、これから起こる殺人事件の謎解きを競わせる。

5人の名探偵は名優揃いで次の面々である。お付の者とコミカルな演技を繰り広げる。
①シドニー・ワン(ピーター・セラーズ) :中国人探偵のチャーリー・チャン役、飄々と絶えず警句を発するが受けない。
部屋からの犬の唸り声に、ワン「犬を飼っているのか」、執事「猫です」、ワン「猫にドックフードを与えているのか? 怒りっぽい猫だ」
大きな屋敷を案内された時のジョーク“big house like man married to fat woman ‥hard to get around” (太った女性と結婚した男のようだ、探索するのが難しい)
日本人の間抜な養子(三人目)を連れているが、彼が石像を落とされて叫ぶ“Holy Shanghai”(ヒャー驚いた) 
もバカバカしく笑えた。しかし何で上海なんだ。

②ミロ・ペリエ(ジェームズ・ココ):エルキュール・ポアロ役、食いしん坊のベルギー人で美髯がポアロそっくり。フランス人と間違われる度にイラつく。
屋敷に到着して、お抱え運転手と自分の飲み物を執事に頼むシーン
ペリエ“I will need a cold compress for my chauffeur and a cup of hot chocolate for me, n’est ce pas ? ”
執事“not n’est ce pas, just Hershey's.”
(「運転手に冷たいカンパリを、私にホットチョコレートを一杯御願いね」「ネセパはありません。ハーシーチョコだけです。」)
n’est ce pas ?は、フランス語の付加疑問文「ですね」である。フランス語と英語がチャンポンになっている事をからかった対話となっている。
尚、仏語訛の運転手役のジェームズ・クロムウェルは、これが映画初出演とある。後年、映画「ベイブ」のホゲット爺さん役で有名となった。

③ディック&ドラ・チャールズトン夫婦(デビッド・ニーブンとマギー・スミス):ニック&ノラ・チャールズ夫婦役。ダシール・ハメット作「影なき男」に登場する夫婦探偵で50年代のラジオ、TVで人気シリーズになった。都会的なエレガントの雰囲気を漂わせている。二人とも名優だけあって、驚いた時の顔の表情が豊かである。
盲の執事をみて「彼に駐車させないで」と打ち合わせる所など息が合っている。

④サム・ダイアモンド(ピーター・フォーク):レイモンド・チャンドラー作「マルタの鷹」に登場する私立探偵サム・スペード役。ドスの効いた低音のマシンガン・トークでまくし立てハード・ボイルド調を強調している。トレンチ・コートを着ているせいか刑事コロンボの印象が取れない。コロンボってこんな低音でしたかね。
「カサブランカ」のボギー役で恋人との別れをパロディで真面目に演じているのが可笑しい。

女“trust you, Sam” サム“The last time that I trust a dame was in Paris in 1940.She said she was going out to get a bottle of wine. Two hours later the German marched in France. ”(「あなたを信じてるわ、サム」「俺が女を信じたのは、1940年のパリが最後だ。女はワインを買いに行くと言った。2時間後、ドイツ軍がフランスに侵攻した。」)
「カサブランカ」を観てないと解からないかな。

⑤ジェシカ・マーブルズ:ミス・マープル役、名前はジェーンだった筈だが。車椅子の老婆と登場。車椅子の婦人がマープルと一同思ったが、こちらは50年連れ添った家政婦で今はマープルが世話しているとの設定で笑わせる。小太りの伯母さんだが、愛嬌のある可愛い眼をしている。何も出ない食事に憤慨して、飢えによる殺人が彼の計画だと叫ぶ。(笑)

一方、迎える側は、トウェイン役は作家のトルーマン・カポーティ、「冷血」を書き奇矯で有名。演技はやや弱いが、チビ、小太り、異形の人の感じは出ている。盲目の執事ベンソンマム(アレック・ギネス)、ツンボでオシで英語が読めない料理女イェッタと変わった人物ばかりである。
トウェイン主人が、晩餐会に出ない理由は外食が好きだからとあった。(笑)
アレック・ギネス執事の白目を剥いて客人に対応する演技はユーモラスである。
客人「他に使用人はいないか」、執事「ノー、私は見ていない」
ディナーを給仕するシーンでは、空とは知らずスープ皿をよそおうところで笑いが止まらなかった。

舞台となる屋敷も女が絶叫する呼び鈴、雷と雨風が吹きつける窓と電気仕掛けの工作が多くなされ、導入部はゴシック・ホラー風で楽しめる。しかし全然怖くないところがコメディである。

物語は、「そして誰もいなくなった」と同じで、登場人物が密室に会し殺人事件が起こるというミステリーの定石は踏んであり、前半は登場人物のキャラクターも面白く期待も高まったが、終ってみると、推理物としては意味不明のところが多々あって肩すかしであった。

死者はトウェイン、執事(ほんとに死んだかは不明)で、登場した探偵達がトウェインと過去関係があり、それぞれ動機があると最後にネタバレする所は、ニール・サイモンが批判した同じ轍に嵌っている。部屋の取替えのトリック、執事の死体の謎、真犯人(ここでは伏せて置きましょう)とトウェインとの関係について説明がなく、欲求不満が残った。勝手に想像しろと言うことかな。料理女イェッタがトウェインの娘という解釈も成り立つが‥。

本作品のミステリーを笑い飛ばすコメディタッチは楽しく、特に英語の会話は洒落て笑えるものであったので、お暇の方は御覧下さい。


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『名探偵登場』ネタバレ感想会

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映画、クラシック音楽、料理、ゴルフが好きな中高年男です。 家猫1匹、外ネコ3匹に遊んでもらっています。

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