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映画 「イヴの総て」(1951年) 

イヴの総て2

新人女優の成り上り物語だが、映画界の演劇界に対する反撥が透けて見える


個人的思い出だが、過去にアカデミー作品賞受賞で甲乙つけ難い年が3回あった。1965年の「サウンド・オブ・ミュージック」と「ドクトル ジバゴ」、1984年の「アマディウス」と「インドへの道」、そしてこの1951年の「イヴの総て」と「サンセット大通り」(この時はさすがに知らない)の競合である。受賞は何れも前者で、それぞれの後者も優れた作品で、受賞しても不思議ではなかったから、逸受賞を残念に思った事がある。

「イヴの総て」は、スターにのし上がっていく女優の野望、裏切り、狡猾さを鮮やかに描いた演劇界の内幕ものである。油の乗りきった時期のジョゼフ・L・マンキウィッツが「三人の妻への手紙」の翌年に脚本・監督した。

60年も昔の作品だが構成が優れているため、ついつい何回も観てしまう。しかし、監督が登場人物をシニカル、冷徹に描き、主人公が出世のために平気で嘘をつくところなど、後味の悪さを引きずるため、個人的には好きになれない。
彼らのその後の人生も決して明るいものではない事を示唆しており、観終わった後、晴れやかな気持ちにはなれない。

当時、映画界は演劇界の下と見なされていたのであろうか。映画は、旧習の演劇界を毒舌で描き、また芝居のシーンは、意図的に描かず、表彰式では主人公に演劇界を踏み台にしてハリウッドに向かう事を宣言させるなど、演劇界への強烈な反撥みたいなものを感じる。


ブロードウェイ演劇の最高栄誉セイラ・シドンス賞の表彰式が開かれている。新進のイヴ・ハリントンに主演女優賞が与えられようとしている所から、イヴとは何者かと物語は始まる。

ブロードウェイの大女優マーゴ・チャニング(ベティ・ディヴィス)は40歳を超えたばかりで、老いと若い役柄とのギャップ、実生活の恋人との関係に悩んでいる。
恋人兼舞台監督のビル・シンプソン(ゲイリー・メリル)、マーゴの友人カレン(セレステ・ホルム)とその夫で劇作家のロイド・リチャード(ヒュー・マーロウ)は、我侭で奔放なマーゴを支える仲の良い友人である。
野心を秘めた舞台追っかけのイヴ・ハリントン(アン・バクスター)がカレンを通じて、マーゴに取り入り、身の回りの世話役から、計略を用いて代役を獲得する様になる。understudyという言葉が良く出てくるが、代役、代役稽古をする人と今回知りました。
劇批評家アディスン(ジョージ・サンダース)、舞台プロデューサー マックス・ファビアン(グレゴリー・ラトフ)らへコネを作り、従順で慎ましやかに装っていたイヴが、野望を剥き出しにし、マーゴや友人を裏切り、マーゴを追い落とす主演女優に成り上っていく。
しかし、悪にはもっと悪がいたもので、策略家アディスンの手にイヴは落ちていく‥‥。

演出で素晴らしいと思ったのは、次の二点である。
① マーゴの舞台が終った後、イヴが衣装をかたづけると言って、無人の舞台でマーゴのドレスを身に当て主人公になり代わったようにうっとりするシーン、およびラストで女子高生ファンがイヴの部屋に入り込み、彼女の衣装を羽織り、表彰の像を持って鏡の前で陶然とおじぎをするシーン。 何れも新人が大女優に取って変わって、その座に就く事を予感させる映画的表現である。

② レストランで4人がワイン・ディナーをしている時、マーゴは、明日ビルと市庁舎で結婚式を挙げると宣言する。祝福する3人。カレンは、「弱みを暴露されたくなければ、次の芝居の主役に推せ」とイヴに脅迫され困惑していたが、マーゴが「次の若い役はやらない」と宣言した時、ほっとした表情をみせる。このカレンの不安→安堵→喜びの表情の変化の描き方は見事である。

この映画のベティ・ディヴィスは素晴らしい。実年齢そのままに、傲慢さと弱さがないまぜになった、もう若くは無い女優を全身で表現している。彼女のじゃら声も映画に合っている気がする。
“Fasten your seatbelts, it’s going to be a bumpy night.”(シートベルトを付けなさい。荒れた夜になるわョ。) 恋人ビルのパーティを開く時、彼が20分も前に着いているにもかかわらず、マーゴの部屋に顔を出さなかったとして、言い争い、仕切り直しをする場面でマーゴが言う映画の名セリフである。
ディヴィスは三度目のアカデミー主演女優賞も当然と思われたが、アン・バクスターが圧力を掛けて助演女優賞から同賞へ鞍替えしたため、票が割れ逃してしまった。

一方、アン・バクスターは、そこそこ上手だが、慎ましい役から悪女に変身する場面で、ゾッとする陰りがもっと欲しかった。
尚、マリリン・モンローが女優の卵でパーティ・シーンに出てくる。演技は可もなし不可もなしといったところで、後年の輝きは未だ予感されない。

尚、衣装デザインのイーディス・ヘッドは、「ローマの休日」やヒチコック映画で有名だが、この作品からアカデミー賞を受賞した。清楚でシンプルなドレスを思い出すが、全8回も受賞している。

今観ると、恐喝の内容など懼れる必要があるのかと古めかしいところも気になるが、顔のクローズアップが多用され、表情の変化で心の変化が良く解かるところや演技陣のアンサンブルが巧みで、素晴らしい作品だと思う。
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映画、クラシック音楽、料理、ゴルフが好きな中高年男です。 家猫1匹、外ネコ3匹に遊んでもらっています。

ボクダノビッチ

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