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映画 「転校生」 (昭和57年)

転校生

女生徒のキャラが一貫していない事に違和感があったが‥



昔TVで観たきりだったが、今回観てみると、この作品はATGと日本テレビの共同製作だったのですね。初めて知りました。
ATGとは、映画芸術作品を後援するために設立された映画会社で、1960~70年代に新進気鋭の若手監督を採用し、非商業的作品を製作・配給した。日本アート・シアター・ギルドの略。ATGとプロダクション側が折半で出資し、1,000万円の低予算で映画を制作した。
低予算のため白黒映画が多かったが、時代を挑発する刺激に富んだ作品が多かったと思う。
多くの監督を世に送り出したのもATGの大きな貢献です。

当時、福岡市中洲にある福岡東宝名画座がATG映画の常設館で、300席位の小さな映画館でしたが、文化の香りに憧れて、私も熱心に通いました。邦画だけでなく外国の秀作も多く上映しており、大島渚「儀式」、篠田正浩「心中天網島」、吉田喜重「エロス+虐殺」、ゴダール「気違いピエロ」、「男性・女性」、ポランスキー「袋小路」等々の難解な映画に、訳も解からず浸っておりました。私の映画体験の原点かな。


さて映画「転校生」です。大林宣彦監督が「HOUSE」に続いて作りたかった2作目の作品です。
中学三年生の男女が入れ替わり、性をめぐるドタバタ振りには前回ほどゲラゲラ笑わなかったが、相変わらず楽しい映画である。今回、再見して、少年・少女時代へのノスタルジックな思いと尾道の町へ郷愁に溢れていることに今更ながら胸が熱くなりました。

尾道には、映画の数年前に友人の親戚の家に泊めて頂いた事があるのですが、映画そのままに急な坂が多く、上に多くの住宅地が並び、狭い道が上まで舗装され続いている落ち着いた町です。映画でもあるがままの町並みが撮られていました。


この映画で強く感じた二点について書いてみたいと思います。

一点目は、親子で時間の流れが異なる事を鮮やかに描いている点です。
子供達に焦点が当っているため、一夫(尾美としのり)の父(佐藤允)、母(樹木希林)は何をしているのか殆ど描かれていません。夕食時の会話で、父の出世を喜ぶ母にも一夫には上の空です。
また一美(小林聡美)の母(入江若葉)は、シャキシャキと慌ただしく家事をこなしていますが、一美は母親の事には無関心です。

今まで余り意識した事はありませんでしたが、確かに中学生の頃は自分の生活に夢中で、両親が何を考えているか、何に心を砕いているか考えた事が無いように思う。同じ家の中に暮らしていても、思いや感心は別々であった気がする。そこらが巧みに描かれています。
年を取り、親の歳になってみて、あの頃、両親は何を考えていたのかとシミジミ思わせられました。

尚、一美の母親役の入江若葉さんは、内田吐夢監督の「宮本武蔵」五部作でお通さん役を演じた女優である。細面のお人形さんのようだったが、人間味の出た良い役者さんになったと感じた。「時をかける少女」にも出演している。


二点目は、アマチュア映画の気分が溢れている点である。
オープニングで一夫の父が、「おお、これが尾道の風景か」と8mmフィルムを見て言う。またラストで、引越しで走り出した車から一夫が追って来る一美を8mmで撮るシーン、イタリア映画「無防備都市」へのオマージュなのか、「サヨナラ、あたし」、「サヨナラ、おれ」と二人の別れが、素人ぽく切なく描かれている。
それから初めと終りが白黒映画で、二人が入れ替わった期間はカラーとなっている点も洒落ている。
このように、ところどころに手作り映画の楽しさが良く出ていると思う。
また一夫の家の塀にも「駅馬車」上映のポスターが張ってあり、映画少年であった大林監督のこだわりが見え隠れして、良い気分にさせられた。

秘密を共有した二人の行く末は気になるところであるが、恥じらいを秘めた少年少女の心の機微を上手に描いたこの作品は、「自分もそういう時代があった」と観る人を幸福に浸らせると思う。
「トロイメライ」、「G線上のアリア」、「タイスの瞑想曲」等のクラシック名曲を散りばめた映画音楽も、懐かしさ、切なさを上手く醸し出している。

大林監督は、その後、「時をかける少女」、「さみしんぼう」、「ふたり」等、尾道を舞台にした青春の甘い一コマを切り取ったような映画を作り続けて、優しい眼差しを感じる監督である。
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映画、クラシック音楽、料理、ゴルフが好きな中高年男です。 家猫1匹、外ネコ3匹に遊んでもらっています。

ボクダノビッチ

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